ホテル・旅館の消防設備点検
ホテル、旅館、民宿、簡易宿泊所など。宿泊者の安全確保のため、特に厳格な消防設備の設置・点検が求められます。
ホテル・旅館に必要な消防設備
ホテル・旅館(特定防火対象物)には以下の消防設備の設置・点検が義務付けられています
消火器
最も基本的な消火設備。ABC粉末消火器が一般的で、初期消火に使用します。延べ面積150m²以上の防火対象物に設置義務があります。
点検内容: 外観点検(腐食・変形・安全栓・表示)、機能点検(圧力計・ホース・ノズル)、放射試験(製造年から10年経過したものは内部点検)...
屋内消火栓設備
建物内部に設置される消火栓。1号消火栓(2人操作)と2号消火栓・易操作性1号消火栓(1人操作可能)があります。
点検内容: 水源(水量・水質)、加圧送水装置(ポンプ性能・起動装置)、配管(漏水・弁類)、消火栓箱(ホース・ノズル・表示灯)の点検...
スプリンクラー設備
天井に設置されたヘッドから自動的に散水する消火設備。火災を自動検知し、早期消火が可能。閉鎖型(湿式・乾式)と開放型があります。
点検内容: 水源・加圧送水装置・配管・ヘッド(変形・塗装・漏れ)・流水検知装置・一斉開放弁・制御弁・末端試験装置の点検、放水圧力試験...
自動火災報知設備
火災による熱・煙・炎を感知器で自動検知し、受信機・地区音響装置で建物内に警報を発する設備。最も重要な警報設備です。
点検内容: 受信機(機能・表示・音響・蓄電池)、感知器(感度試験・加熱試験・加煙試験)、発信機、地区音響装置、配線の点検...
誘導灯・誘導標識
火災時に避難方向を示す照明設備。避難口誘導灯(緑色)と通路誘導灯(白色)があり、停電時も20〜60分間点灯し続けます。
点検内容: 外観点検(損傷・汚れ・表示面の視認性)、非常電源(バッテリー容量・切替試験)、誘導音響装置の点検...
避難器具
火災時に階段が使用できない場合の避難用器具。救助袋、緩降機、避難はしご、滑り台、避難橋などがあります。
点検内容: 取付部の強度・腐食、器具本体の損傷・変形、操作性、降下空間の確保、表示(設置場所・使用方法)の点検...
排煙設備
火災時の煙を建物外に排出し、避難時の視界確保と有毒ガス濃度の低減を図る設備。自然排煙(窓開放)と機械排煙があります。
点検内容: 排煙口・排煙窓(開閉・シール)、排煙機(風量・起動)、手動起動装置、ダクト、自動閉鎖装置の点検...
ホテル・旅館の消防設備点検 費用相場
規模別の点検費用の目安をまとめました
| 規模 | 面積目安 | 最低額 | 最高額 | 平均 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模 | 〜500m²(民宿・ペンション) | 30,000円 | 60,000円 | 45,000円 |
| 中規模 | 500〜3,000m² | 80,000円 | 180,000円 | 130,000円 |
| 大規模 | 3,000m²超 | 200,000円 | 500,000円 | 350,000円 |
費用の内訳(小規模の場合)
点検義務と罰則
点検義務
- 機器点検: 6ヶ月に1回
- 総合点検: 年1回
- 消防署への報告: 年1回
- 点検者: 消防設備士または消防設備点検資格者
根拠法令: 消防法第17条の3の3、消防法施行令別表第1(5)項イ
罰則・リスク
- 30万円以下の罰金または拘留(消防法第44条)
- 火災保険の免責事由に該当する可能性
- 使用停止命令等の行政処分
- 民事上の損害賠償責任